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「冬の札幌で自転車を使う」の記事一覧

はじめに

MyBike

札幌の市街地は割合平坦なので、自転車は大変便利な乗り物です。
昨年(2005年)の4月に札幌に引っ越してきた筆者も、自転車を購入して快適かつ便利に活用してきました。

しかし、札幌での自転車ライフには大きな障害が立ちはだかっています。1年の3分の1、大地を覆い尽くす雪です。

晩秋、ボチボチ雪の知らせが聞こえてくる頃に、札幌の自転車屋さんは冬の間自転車を預かるというサービスを開始します。冬の間は自転車には乗らない、というのが、まぁ、普通の発想でしょう。

ここであえて、冬も自転車に乗ってやろう、というのがこの記事のテーマです。

率直に言って、それなりの準備と心構えをしないのであれば、冬に自転車に乗ることはお奨めしません、というか、やめるべきです。積雪期に自転車に乗るということは、事故に巻き込まれる危険はもちろんのこと、歩行者に対して加害者になりうる危険性を内包しています。

しかし、それなりの準備と注意で臨むのであれば、積雪期の自転車使用は不可能ではない、というのが、積雪後1ヶ月弱使用してきた筆者の実感です。

以下、この記事では、積雪期における自転車走行について、筆者なりに研究と実践を積み重ねつつ、レポートしたいと思っています。

1 スパイクタイヤを導入せよ

「はじめに」で、「それなりの準備と注意」が必要である旨述べましたが、「それなりの準備」に相当するのが「自転車用スパイクタイヤ」です。

そんなものを売っているのか、というのが大方の反応だと思うのですが、あるんですよこれが。

雪道を自動車で走る際に、スタッドレスタイヤやチェーンの準備をするのが当然であるのと同様に、最低限、自転車の場合も冬タイヤに履き替えるというのが準備として必要だと思います。

ただ、実際のところ、札幌でもスパイクタイヤを履いてまで冬に自転車に乗ろうという「酔狂」な人はほとんどいませんので、自転車用のスパイクタイヤの需要はさほどないようです。だから、種類としてはさほど多くはありません。

一番手に入りやすいのは、マウンテンバイク用のスパイクタイヤでしょう。これだと、種類もそこそこ豊富ですし、ちょっとした自転車屋さんでも売っていたりします。

ですから、「冬の札幌で自転車を使う」という野望のためには、まず、自転車の購入の段階で、マウンテンバイクを選ぶのが吉です。

筆者の場合、この段階でミスチョイスをしてしまいました。非積雪期の街乗りを重視した結果、「クロスバイク」という種類の自転車を買ってしまったのです。クロスバイクは、700Cという聞き慣れないタイヤサイズであり、このサイズで入手可能なスパイクタイヤはフィンランドの「ノキアン」というメーカーのものしか見あたりませんでした。

結局、群馬県のとある自転車屋さんから通販で入手しました。


スパイクタイヤ
こんな感じの代物です


なお、お値段ですが、私の買った「HAKKAPELIITTA W106」は、前後2本で送料込み1万円くらいでした。

このタイヤは、ピンがタイヤ1本につき106本打ってあるのですが、本格的に乗る場合は、サイドにもピンが打ってあるものをセレクトした方がいいようです。その場合、1本で1万円は軽く超えます。

・・・・ちょっとしたママチャリが買えるような金額ですね。

なお、少ないながらママチャリ用のスパイクタイヤもないわけではありません。帯広の会社が作っているようです。
未確認ですが、ピンの打っていないスノータイヤもあるようです。

注意点として、スパイクタイヤを最初に使うとき、予め50キロメートル程度舗装道の上を走らせておく、ということがあります。そうすることにより、ピンが露出してグリップが増すとのことです。ただ、急ブレーキをするとピンが抜けたりするそうなので要注意。

筆者は、忠実にそれを実行しようとして、天気予報から根雪になるであろう日を計算して、11月中頃にスパイクタイヤに履き替えました。しかし、例年より初雪の日が遅かったので、結局、100キロメートル以上雪のない道路でスパイクタイヤをジャリジャリいわせながら走る羽目に陥りました・・・・。

2 スパイクを過信しないこと

前章で、「とりあえずの準備」として、スパイクタイヤを導入する必要について述べました。

しかし、スパイクタイヤも、万能ではなく、滑るときは滑ります。過信は禁物です。
(2006.01.09追記)実際、私もこけました。車のいないところでよかった・・・・。

基本的な注意として以下の諸点があると思います。

a)スピードは控えめ。時速15キロメートルくらい
元々、路面状態が悪いので、さほどスピードは出せませんが、意識的に控えめなスピードで走るのがいいとおもいます。一番の理由は、急ブレーキをかけて前輪がロックすると、横滑りしてハンドルが取られるからです。後輪がロックしても横に流されますが、前輪が横滑りした時の方が怖いです。
(2006.01.09追記)後輪がロックしてもこけます。後輪ロックも充分怖いです。

筆者の経験では、時速15キロメートル程度でしたら横滑りせずに制動が可能なようです。
路面が悪く、結構疲れますから、ま、のんびりと走るのがいいでしょう。それでも徒歩よりよっぽど速いですから。

b)後輪ブレーキを意識
上記したように、ブレーキの際に前輪がロックすると怖いので、後輪ブレーキを意識するのがいいようです。
(2006.01.09追記)さりとて、後輪ブレーキばかり利くと、私みたいにこけます。意識的に、ブレーキ早めに、ジンワリかけるのがいいでしょう。

c)サドル低め、立ち漕ぎは無駄
路面が悪かったり、雪の吹きだまりにつっこんだりするとよろけるときがありますので、すぐに足がつけるようにサドルは低めがいいでしょう(筆者は座高が高いので元々サドル位置は低いですが)。あと、立ち漕ぎはかなりの確率でタイヤが空転します。

d)交通法規厳守
当たり前といえば当たり前なのですが、特に、雪道だと自動車も止まれないときがありますからねぇ。

e)無理しない
走っていて無理そうなところに差し掛かったら、おとなしく自転車を押しましょう。もちろん歩道に乗って。車道で押すのはだめですよ。


あと、最初のうちに、交通量の少ない場所で自転車の雪道での特性を体感するのがいいですね。筆者の場合、大学の構内でいろいろやってみました。

繰り返しになりますが、スパイクタイヤとて万能ではないので、とにかく過信しないことです。