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「関西-札幌、引っ越しの記録」の記事一覧

関西→札幌、引っ越しの記録

この度、大学院進学を契機に関西から札幌まで引っ越すことになった。

私は、引っ越しの回数は普通の人より多いと自負している。子どもの頃、父親の勤めの関係で数年おきにあちこち引っ越したからである。また、大学生の時に実家を出て、一人暮らしをはじめた時も引っ越ししている。

しかし、子どもの時の引っ越しは所詮大人任せだし、大学生時代の引っ越しは、実家から高速道路で30分くらいなので、父親のパジェロで数回運んで終わり、であった。だから、自分一人で、本格的な遠距離の引っ越しをするのははじめてである。

ここでは、引っ越しにまつわる記録をつけてみたいと思う。

1 まずは部屋探しから

2004年12月、大学院の合格が決まり、翌年の4月から札幌に住むことに決まった。

仕事や勉強など、いろいろしなければならないことが山積している中、引っ越しの準備もしなければならない。
まずは、住む場所を見つけなければならない。最近は便利なもので、インターネットでかなりのことが調べられる。また、幸いなことに札幌は昔後輩が住んでいた関係もあり、私が住むことになるであろう大学近辺に関してはそこそこ土地勘がある。まずは不動産業者のウェブサイトで目星をつけてみた(私が見た中では、こことかここがお勧め。ただ、後者はIEじゃないと見ることが出来ないページがあります)。

相場としては、ワンルームで3万から4万、1DKで3.5万から4.5万といったところであるようだ。また、敷金はほとんどの場合1ヶ月分であり、「保証金」と称して高い金を請求してくる関西の感覚からすると、かなりの割安感がある。いくつかピックアップした上で、ある不動産業者に電話をかけて、1月末に札幌に行くので、物件を見たい旨連絡をした。

不動産を選ぶ上で留意した点は次のことである。まず、大学までの距離は徒歩で30分以内。これは、冬季に道路が凍結するという札幌の環境下では、2キロ以内ということになろう(余談だが、不動産情報で「駅歩○分」というのは、分速80メートルで計算するようだ)。次に、これも北国ならではであるが、暖房器具の問題である。一般に、札幌では、強制吸排気のFF式ストーブというものがついている場合がほとんどである。FFストーブには、ガス式と灯油式のものがあるが、ランニングコストとしては灯油式のものが圧倒的に有利である。灯油も、外のタンクから配管で供給されるので、「灯油ちゅるちゅる」でしこしこ給油する必要もないのである。さらにすごいところでは、灯油式のボイラーが備え付けられている物件もあり、その場合だと給湯についても安価な灯油によって行われるので、さらにコスト的に有利である。最低でも、灯油式の暖房器具が備え付けられている物件を狙った。

1月末、ここ数年来最悪の寒波が襲来する中、氷点下の札幌に赴いた。不動産業者には、事前に目星をつけた物件を伝えてあったので、事前に管理会社から鍵を借り出してくれていた。

第一候補の物件は、インターネットで見たときには非常に魅力的に見えたのであるが、実際に見てみると、思ったより狭苦しい感じがした。また、敷金を2ヶ月分取るなど、諸経費も相場よりかなり高く、ちょっと予算オーバーかな、という感じであった(管理会社が東京の某住宅メーカーであることが原因らしい)。

事前に目星をつけていた物件以外に、業者が見せてくれた物件は、改装して1、2階の部屋をつないでメゾネット形式にしているという面白いものであったが、日当たりが悪すぎて寒いことといったらなかった。結局、第二候補として事前に考えていた物件にした。広めの1LDKで4万円であった。唯一の難点はストーブが据え付けられておらず、別途購入する必要がある、という点である。もっとも、灯油配管は備わっているし、諸経費も比較的安価であるため、そのコストは十分吸収できるであろう、と踏んだ。

あとは、手続きである。敷金、前家賃、仲介手数料、火災保険料で約14万円を支払った。実家に電話をして、父親に保証人を依頼し、父親の勤務先の電話番号などを問い合わせた。私も勤務先やら年収やらを書類に書き、これらを審査に回すということであった。あと、私の住民票と顔写真、保証人の印鑑証明書が必要とのことで、審査が通った後で郵送する、ということになった。

なお、入試などの関係で、引っ越しするかどうかわからないうちに手付を打って仮押さえしたい、という方もおられるかと思う。これに関しては、札幌の不動産業者はなかなか認めてくれないようだ。とりあえず契約だけして、結果が不首尾の際には解約、もしくは、事前に物件をいくつかみて優先順位をつけておき、結果がわかり次第、空き状況に従って即時契約、みたいな方法をとる他ないようである。あと、転職などで仕事がない状態で物件を探しても、なかなか紹介してくれない、ということもあるようである(参考「札幌ネット-北海道移住支援」)。

2 運送業者、電話、インターネット

とりあえず部屋は決まった。次に、引っ越しに伴う諸手続も行わなければならない。一番大切なのは運送業者である。率直に言って、荷物を全部移すことは効率が悪すぎる。家電・家具系は基本的に現地調達、ということにして、今使っているものは人にあげたり、勿体ないけど廃棄したりして、輸送すべきものは運送業者の単身引っ越しパックのボックスに入るだけ入れて、あとは宅配便で発送、という方針を立てた。また、日程としては、仕事の関係があり3月末日までは関西にいなければならないから、3月20日前後の春分の日の絡む連休にとりあえず荷物を移して、再び戻ってきて空っぽの部屋に寝袋生活、ということを考えた。

単身引っ越しパックを扱っている運送業者はいくつかあるが、私はある大手の運送会社をセレクトした。少々値段は高いのだが、荷物を入れるボックスが大きめで、結局はお得になると考えたからである。

ところが、申し込みの段階では少々混乱が生じた。まず、CMなどで宣伝されているフリーダイヤルに電話をした。すると、私の居住地と違う地域のコールセンターにつながってしまった。そこで、私の居住地を管轄しているコールセンターの番号を教えてもらい、電話をすると、単身パックは担当部署が違う、ときた。その担当部署とやらに再度電話すると、ここでもない、別のところに架けてくれ、と、2番目に架けた電話番号を言ってくる。そこには先ほど架けて、こちらの番号を教わったのだが、というと、しばらく待たされた挙げ句、ようやくここで受理してくれる、ということになった。やれやれ、である。

また、日程的にも私の当初方針の通りにはいかなかった。関西-札幌だと、中2日はかかるとのことで、3連休中に荷出しと荷受けを行うことはできない、ということが判明した。逆に、一週間までなら荷出しと荷受けの期間を空けられるということだったので、結局、連休最終日に荷出しして、次の週末に受け取る、という方向で話をまとめた。

次に、電話とインターネット(ADSL)の移転である。まず、引っ越しに伴って、日本テ○コムの「お○くライン」に替えようか、と考えた。で、資料を取り寄せたが、どうもADSLのキャリアに制限ができるらしい。また、札幌の当該地域は今申し込みがいっぱいで、予約扱いになる、という(後で知ったが、「お○くライン」の強引な勧誘が問題になっているようだ・・・・)。その方針は早々に放棄して、順当に、NTTの回線移設とADSLの移転、ということにした。

NTTは、東西に会社が分かれているため、ちと面倒くさい。NTT西日本管内なら116番でいけるようだが、どうもそうではないっぽい。それで、NTT東日本のウェブサイトから手続きを行った。折り返しNTTのコールセンターから電話がかかってきて、こちらは無事完了。

次に、ADSLの移転である。移転の場合は、オンライン申し込みは出来ずに、書面での申し込みが必要である、とのことである。書面をプロバイダのウェブサイトからダウンロードして、必要事項記載の上FAXした。
・・・・しかし、二週間たっても音沙汰がない。問い合わせたところ、受理されていない、とのことであった。どうもFAXが通信エラーで先方に届いていなかったらしい。やれやれ。改めて、郵送にて申し込む、という羽目に陥った。

(追記)のちに、もう一つ問題が発生した。向こうに引っ越しした段階ですぐにADSLが使えるように、3月1日の段階でNTTの回線を移転して、引き続きADSL開通工事を行うという手続きをしていたのだが、3週間はかかるだろうという読みがはずれて、3月7日に開通することになった。そのため、レンタルのモデムが早々と北海道に発送されてしまっていて、運送業者に連絡を取って現住所に転送してもらうことになった。まぁ、仕事が早いのは大いに結構なんですがね。

3 掃除・掃除・また掃除

今住んでいるアパートはかれこれ数年居住している。男の一人暮らしなんてのは大なり小なりそうだと思うが、私の部屋はその中でもひときわ、恐ろしく汚いと自負している(くだらない自負だ・・・・)。なんか住んでいる当人にもなにやら訳のわからないゴミが堆積している。それを、一気に片づけなければならない。

そもそも、掃除というものは恐ろしく手間と労力とエネルギーを必要とするものである。だから、私のような不精者は、ついつい億劫になって、掃除をしなくなり、ますます汚くなり、ますます掃除が億劫になる、という悪循環に陥っているのだ。

とりあえず、粗大ゴミの日に、不要なものは全部捨ててしまおうと思い、整頓を試みたが、狭い部屋なのでかえって散らかってしまい、収拾がつかなくなってしまった。なんとか本棚だけ粗大ゴミとして出したが、床は棚から除けた本だのなんだのが一面に散らばってしまい、混乱の極みである。

さすがに荷物搬出まで二週間を切ってこの状態ではやってられない。音を上げて、助力を申し出た友人Tの手に恥を忍んですがりついた。

日曜日、Tが来た。「進んでる?」「いや、全然。とりあえずこれ」と私がTに渡したものは手袋と防塵マスク。「???」訝しりながら私の部屋に入るT。「!!!」あまりの汚さにややキレ加減である。「なんでライターがこんなにいっぱい出てくるの?(いや、しばしば見あたらなくなって買うんです・・・・)」「ハンガーの数多すぎ(クリーニングの度に増えるもので・・・・)」などと怒られまくる。しかし、ここは平身低頭、謝りつつ宥めつつ片づけを遂行(今度焼肉おごるから堪忍してよT)。途中Tがコンタクトを落とす、というハプニングがあったものの(見つかってよかった・・・・)、アパートの管理人が空き部屋を一時的な荷物保管スペースとして提供してくれたおかげもあり、少し、ゴールが見えてきた(ような気がする)。Tは「まだ全然じゃない」と申しておりますが。

さて、つぎの三連休が最後の山場だ。もう開き直って、このページの現時点でのほぼ唯一の読者であるガレット氏や後輩Mにも声をかけて、作業を完遂する決意である。(つづく)


(つづき)・・・・ということで、三連休の中日である日曜日、ガレット氏、M君の援軍を頼み、レンタカーも借りだし、徹底した掃除作戦を遂行した。本や資料を箱に詰めていく。ケーブル類も整頓して箱に詰める。パソコンはエアキャップシートに梱包する。古い机やら食器棚やらスチールラックやらをどんどん運び出し、バンの後ろに詰め込んで、廃棄物処理場に運びだす。勿論、手袋、防塵マスク着用の上で、である。こんな作業を延々と朝から夕方までやって、ようやくメドが立った。晩飯は約束通り焼肉である。

翌月曜日、運送業者に荷出しを依頼していた。片づけをしつつ待つが、全然こない。どうなっているのだろう。結局、朝8時から待ちに待って、来たのは夕方の4時過ぎ。昼飯食いっぱぐれましたがな。

ところで、単身パックというやつは、要は宅配業者のベースで使っているキャスター付きのフレームである。体積は2立方メートルとのことであった。こいつが意外なほど収容力が高い。冷蔵庫を詰め込み、スキー板、パソコン、プリンタと詰めてもまだまだ余裕。本や資料を詰め込んだ箱を10箱以上詰めてもまだいけた。ただ、高さが170センチだったので、長い方のスキー板(スキー好きの行きつけのたこ焼き屋のマスターに餞別名目で2組もらったうちの1組)は無理だった(斜めにして入れれば入るけど、収容量を相当犠牲にすることになる)。少々高かったが、これだけ運べるなら納得である。少々箱が残ったが、これは元々宅配便で個別に運ぶ予定だったので、無問題といえよう。

4 荷物の搬入と物品調達

さて、荷物の搬出も無事終わり、あとは荷物を受け取るだけ、で済めばまことに楽な話であるが、そうはいかない。引っ越しに伴って処分してしまったもので、引っ越し先で必要なものは調達しなければならない。

前にも書いたが、引っ越しに際して、家電関係は基本的には現地調達という方針を立てた。電子レンジや洗濯機は電気の周波数の関係で使えないし、あとのものも古くてコストをかけて輸送するには躊躇するものがある。また、ストーブなどはそもそも持っていないから、それは調達するしかない。結局、搬出したものと言えば、書籍を別とすれば冷蔵庫とパソコンと餞別のスキーくらいのものである。

今回の難点は、ストーブの調達のために不慣れな雪道の運転を強いられる可能性があることである。ストーブについては、あらかじめ、札幌郊外のリサイクルショップで在庫を確認して、目星だけつけていた。それを見に行って、買って持って帰るためには自動車が必須である。しかし、私は、車の運転に関しては初心者マークがようやく要らなくなったくらいという素人さ加減である。今年は雪が多く、積雪がまだかなり残っているようである。それでも、運転しなければ仕方がない。札幌のレンタカー業者に電話して予約である。

しかし、3月下旬の週末ということで、引っ越し関係でレンタカーを借りる人が多いらしく、最初に電話をかけた業者は、一台残らず借りられてしまっている、ときた。結局、別のレンタカー業者に電話して借り出しに成功した。しかし、自動変速の自動車を所望したのであるが(一応手動変速の自動車も運転できるけど、安全を期して)、それについては保証できない、と言われてしまった。

出発の前日、たまたま札幌入りしていた知人に聞くと、道路に関しては雪はあらかた溶けている、ということであった。

荷物を搬出した週の週末に、いよいよ札幌入りした。なお、今回は荷物の受け取りと必要物資の調達だけで、仕事の関係で一旦関西に戻らなければならない(何たる不合理)。

札幌駅で上記知人と合流して、まず不動産屋に鍵を取りに行き、ついでレンタカー業者に出向く。自動車は運良く自動変速であった。道は事前の情報通り、乾いていて走行には不安はあまり感じない。ただ、路肩に雪堆が積み上がっていて、レーン取りは困難であった。

ストーブは、破格の8400円で手に入った。年式は古いものの、ショップの親父さんは十分動く、と太鼓判を押してくれた。やった、かなり節約できた。ついでに洗濯機もそこで購入。

あと、煙突の材料や、電灯やらなにやら細々したもの買いにホームセンターに行った。夕方から猛吹雪で、運転が怖かった。

翌日は、荷物の受け取り、である。煙突を散々苦労しつつ作ったりしながら、結構待たされた。しびれを切らして知人とスープカレーを食べに出かけたりしたけど、余裕で間に合った。

とりあえず、引っ越しの作業は大枠では終了したが、かなりの一万円札が消えていってしまった。その上、元の家の方の整頓に、さらに二晩の徹夜を強いられるのであった。

エピローグ

かくして、なんとか札幌への移住が終了した。当初は考えていなかったような様々な苦労が次から次へとわいてきて、正直、かなり参ってしまった。

エピローグとして、概算ではあるが、今回の引っ越しにかかった費用を計算してみる。


不動産関係 150000
単身パック 50000
小包 35000
家具など 15000
家電など 30000
雑貨 20000
レンタカー 40000
交通費 80000
合計 420000

・・・・かなり、ぞっとする金額である。