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2006年9月13日

侮辱罪

スナックで、別の客に対して「デブ」などと繰り返しけなしたとして、侮辱罪に問われた被告人が、拘留29日の刑に確定というニュース。

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「デブ」は名誉毀損罪に関する刑法230条1項にいう「事実」には当たらないわけか。前田の刑法各論なんかを見ると、同条項にいう「事実」は、人の社会的評価を害するに足るものでなければならないとされており、具体例として「被害者の・・・・身体的・精神的特徴」があげられていますが(前田雅英『刑法各論講義(第3版)』119頁参照)、肥満は身体的特徴といえないでしょうか。一方で同書は、侮辱罪の説明で、視覚障害者に対して差別的な言葉をもって罵声を浴びせる行為は事実の摘示に当たらないとしてはいるのですが(前田・前掲書129頁参照)、そうだとすると、「身体的特徴」を摘示することで刑法230条1項の「事実を摘示」したことになる事例というのが、具体的に思い浮かびません。

とりあえず、肥満しているということ自体は社会的評価と直結しないという判断なのでしょうかね。

あと、拘留は「30日未満」でしたな(刑法16条)。30日を越えると禁錮との区別がつかなくなるから(刑法13条1項参照)、マックス29日になっているわけか、なるほど。

(追記)上記した、「身体的特徴」を摘示することで刑法230条1項の「事実を摘示」したことになる事例、思い出した。ある町議会議員が政治的に無節操であるということを、その議員の身体的障害と結びつけて誹謗したのが、名誉毀損罪に当たるとした事例があったね[最判1953.12.15(S28.12.15)刑集7.12.2436]。

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