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2009年6月の記事一覧

2009年6月 1日

家庭ごみの有料化

札幌市では、来月1日から家庭ごみ[一般廃棄物(廃掃法2条2項)]の収集を一部有料化するとのこと。そのため、説明のパンフレットや、指定ごみ袋のサンプルなどが配られています。

「スリムシティさっぽろ計画」(廃掃法6条の一般廃棄物処理計画)に基づく措置とのことで、有料化されるごみも一部ですから、ま、穏当なところでしょうか。実家のある関西の山の中の市はずいぶん前から有料になっていましたし。


とりあえず、ごみの分類が増えたのがややこしいです(新たに「雑がみ」というカテゴリができた)。あと、紙おむつのおかげでごみの量が増えている我が家にとっては、財布にちと厳しい話です。尤も後者については乳児のいる世帯に一定量の指定ごみ袋の配布があるとのことで、一定程度緩和されますが。

2009年6月 2日

一ヶ月検診

ちと早いですが、娘の1ヶ月検診のために出産したS病院に。

S病院は火曜日の午後が1ヶ月検診の指定日(病気が蔓延しないように普通の診察時間とわけているのか?)なので、赤ちゃん達が何人も集まっています。皆個性的ですなぁ。泣き声も高低いろいろ。もちろん親基準では我が子が一番かわいいのは当然ですが、それぞれ負けず劣らず皆かわいいので、思わずにやけてしまいました(嗚呼親ばか)。

うちの娘は待ち時間に泣き出してどうにも手がつけられない状態になっていましたが、検診の担当のおじいちゃん医師(孫がいるとのことなので「おじいちゃん」で失礼ではないでしょう)、一目見るなり「おー、嘘泣きだなぁ。涙が出てない」と仰る。その途端に泣きやむ娘。その泣きやみ方が、「やべっ嘘泣きばれた」て感じだったのでちと可笑しかった。

その他にも、問診票に「『でべそ』のように思えます」と書いていたところ、おじいちゃん医師、「特記事項、なになに、『で、べ、そ』」とカルテにそのまま「でべそ」と記載してたのが可笑しかった。

なお、娘の「でべそ」は小さいので自然に治るだろう、とのことでした。その他健康面についてはとりたてて問題なしとのことで、一安心。ただ、生まれた時の体重が2000グラム台のかなり前半で、順調に増えてはいるものの依然かなり小柄なので、一応月末にもう一度診察とのこと。

しかし、赤子連れの外出は疲れますな。荷物もやたらと多いし。

2009年6月 3日

冤罪の恐ろしさ

<免田栄さん>総務省に申し立て 年金の受給資格回復求め」(ヤフーニュースより)

免田事件は、戦後の刑事再審事件で初めて「死刑台から生還」した冤罪事件です。子どもの頃に、熊本地裁での再審無罪のニュースを見たのを覚えています。1983年とのことですから、26年も前の話になりますか。

しかし、今に至って上記のようなニュースにふれると、つくづく冤罪というのは恐ろしいな、という印象を強く持ちます。刑事補償では償いきれないような有形無形の被害を与えるのが冤罪事件であると改めて実感しました。

2009年6月 4日

今年は215点

平成21年新司法試験短答式試験結果」(法務省のサイトへのリンク)

今年の第4回新司法試験の短答式の結果が発表されました。

昨年は230点が合格最低ラインでしたが、今年は215点になりました。全体の平均点が250.7点から228.1点に大幅下落していますので、ま、穏当なところかと思います。ただ、短答式試験の合格率が昨年の74.6%から68.7%に低下しており、短答式合格者数は4654人から5055人と微増にとどまっています。今年の合格者数は2400人~2900人が想定されているようですから[第34回司法試験委員会会議(2007年4月19日)の「ヒアリング提出資料」中「新旧司法試験合格者数案」(PDFファイル)より]、短答式合格者の最終合格率は47.5%以上と、昨年実績の44.4%より高いことが見込まれます。尤も、昨年の合格者数は上記「案」が2100人~2700人としていたところ、実績は2065人だったのであくまでも見込みにすぎませんが。


自己採点したところ、マークミスがなければ215点は超えているはずですが、素点ベースで昨年より30点以上悪い点になってしまい、合格者平均点の248.5点には遠く及ばない点数になってしまいました。やれやれ。

ま、それでも9月10日の最終合格発表まで望みを繋ぐことができたことは素直に喜ばなければなりません。マークミスが怖いけど。


あ、あと、今年の新司法試験では広島会場でちょっとしたハプニングがあったようですな。

司法試験:1分早く終了?--広島会場」(毎日新聞のサイトより)

短答式刑事系の試験で試験監督が1分早く「試験終了です」と宣言してしまった模様。結局、当該試験室の受験生は短答式刑事系につき一律3点の加点を受けたそうです。

5 加点措置について
 1日目3時限目に実施された短答式試験刑事系科目に際し,広島試験地の試験室(受験者69名)において,監督員が試験終了時刻の約1分前に試験の終了を告げたことにより,適正な試験時間の確保がされなかったことが認められた。
6月3日に開催された司法試験委員会において,これに関する措置として,上記試験室で受験した受験者全員につき,短答式試験刑事系科目の得点として3点を加算することが決定された。

短答式刑事系は問題の毛色がかなり変わって、手数がかかる問題も多く私なんぞ時間ギリギリやったからなぁ。たかが1分とも思えますが、されど1分ですな。

なお、上記毎日の記事によると、広島会場の試験監督はイベント企画・運営会社のコングレが受託していたそうです。コングレ、かぁ。記事では本社東京になっているけど、元々大阪の会社なんだよね。昔仕事の関係でコングレに同時通訳とか頼んだことあるなぁ。

(追記)
上記した広島会場の加点措置で、一人追加合格になった人がいたそうです。まさに、命拾いした感じですね。

新司法試験:法務省、広島会場でのミス発表 1人追加合格」(毎日新聞のサイトより)

2009年6月 5日

続・冤罪の恐ろしさ

足利事件、菅家さん釈放=再審開始決定前では初-逮捕から17年半ぶり」(ヤフーニュースより)

昨日の話ですが、1990年に起こったいわゆる足利事件で2000年に無期懲役の刑が確定し、服役中だった菅家利和氏につき、東京高検は刑事訴訟法442条但書の規定に基づき刑の執行を停止し、菅家氏は釈放されました。


刑事訴訟法442条
 再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。但し、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる。


足利事件は、いわゆるDNA鑑定の証拠能力を認めた事例として刑訴法の判例百選に載っている事件ですが[最決2000(H12).07.17、刑訴百選第8版73事件]、TKCのLEX/DBで改めて原審[東京高判1996(H08).05.09]・原原審[宇都宮地判1993(H05).07.07]の判決文を見てみると、少なくとも本件で菅家氏の有罪を認定する証拠とされたMCT118DNA型鑑定の結果は、同一のDNA型、血液型の出現頻度が1000人中1.2人程度と極めて高く(足利市のウェブサイトによると、事件のあった1990年の10月1日時点で足利市の人口は約16万7千人だったので、単純にこの頻度で計算すると事件の当時市内に同じ型は200人ほどいた計算になる)、この程度で菅家氏と事件とを結びつけたのはずさんな判断だったのではないかと言わざるをえません。なお、上記DNA型鑑定以外の物的証拠は、被害者のパンツに付着していた陰毛一本と被告人が任意に提出した陰毛二〇本との間に「高い形態的類似性が認められ」ることのみです(前掲宇都宮地判参照)。

要は、同じDNA型の人は市内にも200人くらいしかいないし、(敢えて下品な単語を使うけど)チ○毛の形も似ているからこいつが犯人だ、と判断したっちゅうこっちゃな。アホくさ。


で、結局、最新の技術で細かく調べたらDNAの型が違ったということで、検察は事実上冤罪を認めて昨日の釈放に至ったわけですが、そもそもは上記のような全くアホくさい理由でたやすく無辜を有罪としてしまった裁判所が悪いわけで、また、菅家氏を犯人と決め込んだ当時の捜査当局が悪いわけです。

「十人の罪人を逃すとも一人の無辜を捕らえるなかれ」という法諺がありますが(英語だと"Better ten guilty escape than one innocent suffer"というようです)、誤って無辜を捕らえたがために真犯人を逃すということになってしまったのが本件ということです。そして、17年間、うまいコーヒーひとつ飲めないような獄中に無辜をつないだということは、償っても償いきれることではないでしょう。

つくづく、冤罪は恐ろしく、絶対にあってはならないことであるということを再確認しなければなりません。

2009年6月 6日

1Q84

話題の村上春樹氏の新作小説。品薄との報道ですが、新川通の大型書店で平積みになっていたので思わず購入。

買ってから、ジョージ・オーウェルの『1984年』との関係に思い至る。


2009年6月 7日

腹の辺りがもやーとする不思議な小説

1Q84』読了。

ネタバレになるようなことは書きませんが、一言でいうと何やら不思議な読後感。小説の舞台となっている微妙にねじれた世界の微妙なねじれっぷりが、とにかく不思議な感じ。頭でなく腹の辺りがもやーとした感じになった。こんなけったいな読後感の小説は初めてですな。

しばらく腹の中でその微妙なもやーとした感じを醗酵させてから再読してみよう。

2009年6月 8日

界壁

10年前になりますが、大阪府豊中市内にある古い木造のアパートで未明の火災があり、9人もの人が亡くなるという痛ましい事件がありました。

その際、火災にあったアパートは部屋と部屋の間の壁(界壁)が天井裏にはなく、天井裏が広々としていたため、火があっという間に燃え広がってしまったのでした。

当時私は大阪府下の似たような木造の古いアパートに住んでいたのですが(不動産情報誌に「古年築造」と記載されており、築年数不詳)、「うちのアパートの界壁どないなってるんやろ」と思ってある日酔った勢いで天井裏覗いてみたら、界壁なんかあれへんがな。ごっつう広々とした空間が天井裏には広がっていましたで。
やばいと思ったけど結局しばらくそこに住んでいました。なんせ家賃激安やったからね。


で、今日の昼に先輩からメールがきて知ったのですが、当時私が住んでいた木造アパートが昼火事で全焼してしまったそうな。幸い誰かが死んだり怪我をしたりということはなかったみたいなんですが、送ってもらった写真を見ると建物の一部が完全に崩落していたから相当派手に燃えたようです。

ボロなりに風情があって、阪神淡路大震災にも耐えた建物だったんですが、悲しい。

(追記)
上記火災現場より住人と思われる男性の遺体が発見されたとのこと。なんてこった。

心から哀悼の意を表します。

2009年6月 9日

ワタクシが買ったくらいですからね

<村上春樹>「1Q84」百万部突破 旧作、オーウェル「1984年」、作中音楽CDにも波及」(ヤフーニュースより)

流行りものには滅多に手を出さないワタクシが買ったくらいですからね、余程売れてるんでしょう。

上記記事中、オーウェルの『1984年』の新訳が出るというところに注目しました。

下は、昔洒落で作った「勝利コーヒー」のラベル。「勝利コーヒー」というのは『1984年』の作中に出てくるいかにも品質の低そうなコーヒーなのですが、これをプリントアウトして、くそ不味いインスタントコーヒーの瓶に貼って「勝利コーヒー」と呼んでいました。

victorycoffee.jpg

2009年6月10日

縦割り

まずは数日前のこのニュースから。

車同士が衝突、1台炎上5人死傷=カーブではみ出しか-北海道」(ヤフーニュースより)

現場は札幌から定山渓温泉を経て洞爺湖に向かう国道230号線の、札幌側からみると「あげいも」で有名な道の駅がある中山峠を過ぎて喜茂別に入ってすぐくらいの下り坂で、運転にはそれなりに神経を使う場所なのですが、上記事故は札幌方面から走ってきて坂を下っていた車がセンターを割って、反対側から坂道を上ってきた車とぶつかったというもの。

この事故に、次のような事情があったというニュース。

中山峠、見えぬ中央線 7日に2人死亡 誤って対向車線へ」(北海道新聞のサイトより)

現場は上り坂2車線(登坂と走行)、下り坂1車線でいわゆるはみ禁のオレンジのセンターラインなのですが、オレンジの線が消えてしまっている一方、上り坂のレーンを分ける白の破線がきれいに塗り直されていた結果、白破線をセンターラインと錯覚してしまう車が続出していたということ。

模式図で表すと、本来図1のようにあるべきだったところ、

090610.jpg
(図1)

オレンジが消えていたために図2のようになっていたということです。しかも、下り坂方面は道の駅からの合流があるので、ますますわかりにくいのです。

090610b.jpg
(図2)

上記記事中の写真を見てもらえれば一目瞭然なのですが、錯覚しても不思議のない状況で、7日の正面衝突はある意味起こるべくして起こった事故ではないでしょうか。

センターラインは公安委員会、レーンの白破線は開発局と管轄が異なっていたために起こったことと説明されていますが、いかにも縦割り行政の弊害という感じで、もうアホか、と。

本件では、国賠2条の営造物責任を問うこともあながち不可能ではないような気がします。あんな紛らわしいライン、道路が通常有すべき安全性を欠いているといってもよさそうに思えます。

なお、今日になって公安委員会があわててセンターラインを塗り直したそうですワ。

道公安委、中央線塗り直し 中山峠の死亡事故現場付近2キロ」(北海道新聞のサイトより)

2009年6月11日

パンデミック

<新型インフル>警戒度「6」宣言、加盟国に通告...WHO」(ヤフーニュースより)

一時のパニック的な状況はすっかり落ち着いたところですが、4月以降世界的に流行してきた新型インフルエンザがいわゆるパンデミック期に突入したと宣言。ただ、フェーズが上がったことによりどういうことになるのかは、よく知りません。おいおいわかってくるでしょう。

北海道でも初の感染者が確認されたそうですので、一応気をつけなければなりません。赤子に伝染したら大変ですから。

2009年6月12日

「任意」だったら問題ない筈ですね

大阪高検検事が速度違反、1か月以上出頭せず...書類送検」(ヤフーニュースより)

検事が下道30キロオーバーのスピード違反で赤切符切られて、警察から任意の事情聴取のための出頭要請を受けていたがしばらく応じなかったという報道。

赤切符と言うことは、反則金制度の対象とならない交通違反ですから、検事だろうが誰だろうが淡々と刑事事件としての手続をすればいいのであって、その過程で「任意」の事情聴取に応じなかったからといって問題視されるのは変な感じがします。任意ちゅうことは応ずるか否かは意に任せるちゅうことやねんから。

次席検事は「反省すべき点があったと思う」と言っていますが、これって、「国民は警察からの出頭要請があれば、それが任意のものであっても「任意」に応ずべきであるから、検事たるもの警察から出頭要請があれば率先して出頭し国民の範となるべきである。にもかかわらず出頭しなかったのは反省すべきである」ということなんでしょうかね。だとしたら、捜査機関にずいぶんと都合のいい話ではないですか。

むしろ、任意の出頭要請なんか無視してもいいんだよ、ということを検事が体を張って教えてくれたということで、あっぱれなものとして報道してもいいんじゃないのか、と思ったりしました。

もちろん、法を守るべき検事がスピード違反したこと自体は感心しませんよ。その点を問題視するのはいっこうに構わない。

2009年6月13日

ネットで出前

出前注文サービス-Yahoo!グルメ

上記ページの存在をうっかりと知らなかったのですが、ネットでいろんな店の出前の注文が出来るとは便利です。

今日は来客があり、しかし外食は赤子がいるためできないので、助かりました。

2009年6月14日

債権額説か受益説か

弁護士VS司法書士 債務整理の境界は 大阪高裁で訴訟加熱」(ヤフーニュースより)


まず、関連する条文は以下のものです。


司法書士法3条(業務)
1 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
(中略)
七  民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法 の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。

裁判所法33条 (裁判権)
1 簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一  訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
(以下略)

法務大臣が認定した司法書士には簡裁代理権が与えられていますが、それに付随する裁判外代理権の範囲につき、債権整理を例にすると「整理の対象になる全債権額」(債権額説)と「整理によって圧縮される債権額」(受益説)の間で争いがあるとのこと。

例えば200万円の債権につき100万円に整理圧縮した場合、債権額説ではNGなのに対して受益説だとOKということになります。

条文を素直に読むと、簡裁の管轄にかかる民事の紛争であって、目的の価額が140万円をこえないものに関する代理権と読め、債権額説の方が妥当であると考えられますが、そうだと司法書士の仕事はかなり限定されることになり、司法書士に簡裁代理権を付与して市民の法へのアクセスを高めようとした意味がかなり損なわれるので考えものです。

ただ、依頼者から見れば、受益説だと債権額が140万円を超える場合でも司法書士に頼むと端から140万以下にまけたらなアカんことになるから、ちといやかもしれないな。しかも、和解の行方によっていわゆる非弁かそうでないかが変わってきうるから法的安定性も欠くことになりそうやし。なかなか難しい問題をはらんでいます。


裁判の行方に要注目。

2009年6月15日

中型自動車免許

運転免許の更新のために手稲の免許センターへ。前回の更新から3回もスピード違反で捕まってしまったので、違反講習で2時間でしたよ。

免許証がICカードになっていて本籍地の記載がなくなったのと、免許の種類が普通自動車から8トン限定の中型自動車になっていましたよ。

従前の普通免許が中型限定に変更になったのは2007年ですから、今さらではありますが、免許証に種別として中型と記載されたのを見るとなにやら変な感じがします。

2009年6月16日

そろそろ届いてもおかしくないんですが・・・・

何がって、新司法試験の短答式の点数通知。

昨年は6月15日には届いていたので、曜日の関係からすると今年は14日頃には届くものと思いこんでいたのですが。

今日ポストの中にシールはがきが入っていたので来たと思ったら、札幌市指定ごみ袋の引換券でした。

2009年6月17日

REACH規則

REACH規則に対応 国内50社超 化学物質情報管理の新システム稼働へ」(ヤフーニュースより)

EUの有害化学物質管理制度に関する記事。

新司法試験で環境法を選択している者はほぼみんな読んでいるとおぼしき大塚直の『環境法第2版』では、REACH規則案となっていますが、施行されているのですね。

2009年6月18日

いわゆる臓器移植法の改正案について

一転、臓器移植法案「A案可決」賛成263票」(ヤフーニュースより)

本日の衆議院本会議で、いわゆる臓器移植法の改正案のうち「A案」が可決されました。

以下に、現行法と「A案」を対比します(現行法は法令データ提供サービス、A案はhttp://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16401014.htm参照)。



現行法 A案
6条1項  医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。  医師は、次の各号のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
 一 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないとき。
 二 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であって、遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき。
6条2項  前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。 前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたの身体をいう。
6条3項  臓器の摘出に係る前項の判定は、当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないときに限り、行うことができる。  臓器の摘出に係る前項の判定は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、行うことができる。
 一 当該者が第一項第一号に規定する意思を書面により表示している場合であり、かつ、当該者が前項の判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないとき。
 二 当該者が第一項第一号に規定する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であり、かつ、当該者が前項の判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その者の家族が当該判定を行うことを書面により承諾しているとき。
6条の2 (新設) (親族への優先提供の意思表示)
 移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができる。
7条  医師は、前条の規定により死体から臓器を摘出しようとする場合において、当該死体について刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項の検視その他の犯罪捜査に関する手続が行われるときは、当該手続が終了した後でなければ、当該死体から臓器を摘出してはならない。  医師は、第六条の規定により死体から臓器を摘出しようとする場合において、当該死体について刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項の検視その他の犯罪捜査に関する手続が行われるときは、当該手続が終了した後でなければ、当該死体から臓器を摘出してはならない。
17条の2 (新設) (移植医療に関する啓発等)
 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて移植医療に対する理解を深めることができるよう、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。


この問題についての私の基本的な立場は、脳死臓器移植はドナーとなる人の人権が守られるとは言い難いため、反対というものです。

脳死臓器移植の基本的な矛盾点は、「脳死」という概念を使うことによって今までならば死人として扱われなかったドナーを死んだことにして、その生命の犠牲という不利益の下にレシピエントが臓器提供を受けるという利益を享受するという点にあると考えます。ドナーの生存とレシピエントの生存は不可避的に対立関係に立たざるを得ません。

そして、「脳死」が人の死かという議論においてはドナーの生死が問題となりますが、脳死臓器移植における議論では、レシピエントたる難病の患者が「移植できなくて困っている」という側面が紹介されることが多く、ドナーの被る不利益は等閑視されているように思えます。

もちろん、難病に苦しむ人を救う手だてがあるのならその手だてを講じたい、というのは自然な気持ちなのかもしれませんが、そのために、誰かの死を前提としなければならないということは、本来すごく後ろ暗いことである筈なのに、その後ろ暗さがあまり問題とはなっていないように思われます。


今回衆議院で可決された「A案」は、レシピエントの利益を追求するあまり、「人の死」という死生観に関わるデリケートな問題について「脳死は人の死である」という方向から強引に枠をはめ、結局ドナーの生命に対する権利を軽んずるものと言わざるをえません。

以上、とりあえず問題提起的に。


(追記)

短答式の成績通知、ようやく届きましたよ。自己採点通り、基準点以上であることが確定。

2009年6月19日

いわゆる海賊対処法の成立

海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」(PDFファイル:首相官邸のサイトより)

上記は閣法としての法案段階のものですが、今日衆議院で再可決されて成立。海賊対処措置は名目上は海上保安庁が行うことになっていますが、事実上海上自衛隊が活動を行うことになります。

法6条が認める「合理的に必要と判断される限度における武器の使用」が、明らかに憲法9条1項の禁止する「武力の行使」にあたるでしょう。


いわゆる海賊対処法第6条
 海上保安官又は海上保安官補は、海上保安庁法第二十条第一項において準用する警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第七条の規定により武器を使用する場合のほか、現に行われている第三条第三項の罪に当たる海賊行為(第二条第六号に係るものに限る。)の制止に当たり、当該海賊行為を行っている者が、他の制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該海賊行為を継続しようとする場合において、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。


調子こいて3分の2の再可決を濫用できるのも今のうちだけですが、またどさくさに紛れて憲法の平和原則をなし崩しにするものとして批判されるべきでしょう。

2009年6月20日

北京オリンピックの意外な影響

先代の南極観測船「しらせ」延命に光 鉄くず価格の急落で」(ヤフーニュースより)

先代の「しらせ」がスクラップになる筈だったものが、鉄くず価格の急落で買い手がつかなくなってスクラップを免れるのではという話。

昨年までの鉄くず価格の高騰は北京オリンピックによる中国の建設ラッシュの影響といわれていましたから、それが一段落したことによる意外な影響というところでしょうか。

2009年6月21日

三大がっかり

初孫フィーバーに盛り上がる私の両親が昨日から訪札。今日は大通界隈を少々案内。

父は仕事で何回も札幌に来たことがあり、道庁前のニッセイビルに驚いていたくらいでしたが、母は初の札幌。

そして母は、予想通り札幌時計台の小ささに驚愕していました。

さすがは沖縄の守礼門、高知のはりまやばしと並ぶ「日本三大がっかり」だけのことはある。

2009年6月22日

奨学金の返還猶予願出の基準が変わった

掲記の通り、日本学生支援機構の奨学金返還猶予願出の基準に変更があったようなので注意を喚起。

昨年までは、司法試験受験中ですと「入学(受験)準備中」という事由による猶予願出ができましたが、今年からは「受験準備中」という事由はなくなりました。

参照


(2009.07.22追記)
お問い合わせいただいた件について、メールを差し上げています。迷惑メールフォルダに誤って入ってしまうこともありますので、ご確認いただければ幸いです。

2009年6月23日

「放送受信契約の締結」を求める訴訟?

NHKが受信料拒否ホテルを提訴、142万円支払い求める」(ヤフーニュースへのリンク)
放送受信契約の締結拒否者に対する民事訴訟の提起について」(NHKのサイトへのリンク)

NHKとの間に放送法32条1項に基づく受信契約を結んでいながら受信料を支払わない者に対して支払を請求する事例はありましたが、放送受信契約の締結を求める民事訴訟を提起するのは初めてのことだそうです。

しかし、この訴訟はどうも変な感じがします。まず、放送法32条の条文を確認しておきます。


放送法32条(受信契約及び受信料)
1 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。 (以下略)

まず私が疑問に思うのは、「放送受信契約の締結」を求める訴訟の訴訟物は何か、ということです。

放送法32条は契約という形を取っていますが、一般に契約の成立には申し込みと承諾の合致が必要であるということになりそうです。そして、「放送受信契約の締結」を裁判で求めるということを素直に構成すると、契約の申し込みという意思表示を求める給付訴訟ということになり、訴訟物はテレビジョン受信装置を設置した者に対する「放送法に基づく契約請求権」ということになりそうです。しかし、契約の締結はそもそも当事者の自由であるという契約自由の原則が近代私法の原則ですので、「契約請求権」というのはどうも馴染まないように思います。
この点、テレビジョン受信装置を設置したことにより、設置者からNHKに対して黙示の受信契約申し込みがあると理解した上で、放送受信契約が成立していることの確認訴訟みたいなつくりにした方がまだ筋がいいように思いますが、NHKはあくまでも契約締結を求める訴訟を提起したといっていますので、この考えは採っていないようです。
結局、NHKが何を訴訟物としているのかが、イマイチよくわからない。


次に、上記の訴訟物の点がクリアできたとして、問題になるのが今年3~5月分の受信料についての支払いを求めている部分です。

意思表示を求める訴訟の判決は、その確定の時に意思表示があったものとみなされます(民事執行法174条1項本文)。


民事執行法174条(意思表示の擬制)
1 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾、調停若しくは労働審判に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。(以下略)


よって、放送受信契約の締結を求める訴訟によって契約が締結になるのは裁判の確定の時であって、少なくとも現時点では契約は締結されていないことになります。

にもかかわらず、NHKが過去の分につき受信料の支払いを求めるのは矛盾しており、少なくとも受信契約の締結を求める訴訟と受信料支払い請求訴訟は両立しないのは明らかであると思います。


訴状を見ていないので正確なところはわからないのですが、このニュースを見て上記のようなことを疑問に思った次第。

2009年6月24日

駆け込み

ごみ回収有料化直前、収集車火災16件...札幌」(ヤフーニュースより)

来週から有料化ということで、駆け込みで燃えないごみとしてスプレー缶が大量に出されているのが原因のようです。

私んちも金曜日に燃えないごみの溜まっていたのを出す予定なので、スプレー缶など気をつけなければなりません。

2009年6月25日

考古学的修復

道頓堀川のカーネル人形、「川底のなごり」考古学的に修復」(ヤフーニュースより)

3月に道頓堀川から「救出」されたケンタッキーのカーネルおじさんの人形、高松塚古墳の修復と同様のえらく高度な技術を駆使して修復されたというお話。

こういうばかばかしいことを大まじめにするのは結構好きです。

2009年6月26日

撃ちたくなる?

2女性警官、訓練で誤射 神奈川県警」(ヤフーニュースより)

同じ日に別々の場所で同じような事故が起こったということで、なにやら奇怪な感じです。

いずれも射撃訓練用のビデオを見ていて誤射したということなので、何やら撃ちたくなるビデオだったんでしょうか。

2009年6月27日

松輪島

宇宙から見た地球の様子」(「若田光一 宇宙ブログ」より)

国際宇宙ステーションに滞在中の若田光一氏が宇宙から撮影した地球の写真。とりわけ、以下のものがなかなか面白い。

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(NASA)

千島の松輪島の火山の噴火。噴煙が雲を突き破って上昇していて、噴煙の先端には水蒸気がくっついているというのがよくわかります。

松輪島というと昔、気象通報の通報地点であったということを記憶しています。何となく懐かしい。

2009年6月28日

かぶと虫相撲

雑記帳 全国かぶと虫相撲大会 山形県中山町」(ヤフーニュースより)

「かぶと虫相撲」のルールは、棒に2匹のかぶと虫を止まらせて、60秒後に高い位置にいたかぶと虫が勝ち、というもののようです。

んで、決勝戦では優勢だったかぶと虫「キングカブト」が、土壇場で飛んで逃げてしまい、失格という話。記事についている、「キングカブト」の飼い主である小林拓真君(7歳)の写真がなかなかいい味を出しています。折角かわいがっていたかぶと虫に逃げられてしまって、残念やったやろなぁ。


小学一年生くらいのときに父親と一緒に郊外のゴルフの打ちっ放しの水銀灯ギラギラの場所にかぶと虫を捕りにいったことがあったなぁ。ま、夜遅かったから私は車で行く途中に助手席で寝てしまって、気が付いた時には帰り道で、膝の上にかぶと虫の入った虫かごが置いてあったんですがね。

そんなほのぼのとしたことを思い出したりしました。

2009年6月29日

弁護士法72条

無資格で過払い金訴訟を提起し報酬 容疑の行政書士を逮捕 警視庁」(ヤフーニュースより)


弁護士法72条の禁ずるいわゆる非弁行為で行政書士が逮捕されたという事件ですが、訴訟提起まで受任した非弁行為というのは寡聞にして知りません。


弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。


記事によると、債権譲渡を仮装して本人訴訟として行ったようですな。


ところで、モーニング連載中の行政書士が主人公の漫画で相手方を非弁として難ずる話が出てきたのには驚きました。「お前が言うな」っちゅう感じやからね。

2009年6月30日

育児休業ができない?

娘が生まれてから50日ほど経ち、妻の産後休暇も終わりが近づいてきました。


労働基準法

第65条(産前産後)
1 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
2使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
3 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。


産後休暇に引き続いて育児休業をする予定なのですが、今日になって妻の職場から問い合わせが。内容としては、「夫が就労していないようですが、そうであるならば夫に子の世話をしてもらえばいいのであなたは育児休業をする必要があるのですか」とのこと。

確かにワタクシ就労してはいませんが、そんなの妻の育児休業とは関係ないんじゃないの、と思って調べたら、関係あった。


育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

第5条(育児休業の申出)
 労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。(以下略)

第6条(育児休業申出があった場合における事業主の義務等)
1 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
一  (略)
二  労働者の配偶者で当該育児休業申出に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者
三  (略)
2 前項ただし書の場合において、事業主にその育児休業申出を拒まれた労働者は、前条第一項及び第三項の規定にかかわらず、育児休業をすることができない。
(以下略)


育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則

第6条(法第六条第一項第二号 の厚生労働省令で定める者)
 法第六条第一項第二号 の厚生労働省令で定める者は、次の各号のいずれにも該当する者とする。
一  職業に就いていない者(育児休業その他の休業により就業していない者及び一週間の就業日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の者を含む。)であること。
二  負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業申出に係る子を養育することが困難な状態にある者でないこと。
三  六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しない者でないこと。
四  育児休業申出に係る子と同居している者であること。


要は、労使協定がある場合は育児休業が認められないことがあるということなので、職場に問い合わせて労使協定の存在を確認した上でFAXしてもらいました。


ワタクシ、確かに形式的には上記要件に合致するのですが、無職とはいえ一応受験生ですので常態として娘の世話をできるわけではありません。

・・・・ちゅうことで、現在妻の職場にその事情を説明しているところ。やれやれ。

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