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2006年12月14日

難易度高い、と思う。

今日は民事訴訟法の小テスト。テーマは遺言執行者の当事者適格など。

(やや簡略化した設問)
Aが死亡した。死亡時Aには配偶者はなく、子BCDEがいた。Aは、死の2年前に「所有の甲不動産をB、乙不動産をDE、丙不動産をCに与え、Fを遺言執行者とする」という内容の自筆証書遺言書を書いていた。この自筆証書遺言書は家庭裁判所の検認を受け、Fは遺言執行者としての職務を行うことを承諾した。
一方、Aには「良い仲」のGがおり、死の1年前からAGは一緒に乙不動産で暮らしていた。Gの申し立てにより、A死亡の4ヶ月前に作られた「乙不動産をGに与える」という内容の公正証書遺言書があることが判明した。
BCDE間では、自筆証書遺言が有効であるか否かについて争いがあったものの、とりあえずGには共同対処しようということで、自筆証書遺言の有効・無効は棚上げにして、乙について相続を原因とする所有権移転登記(持分4分の1ずつの共有)を行ったが、これにFは関与していなかった。

1)BCDEが、Gに対して、自筆証書遺言については触れないで、公正証書遺言は無効であり、相続によりBCDEは乙につき共有持分を有するとして、Gに対して乙についてのBCDEの共有持分確認、ならびに共有持分に基づく乙引渡を請求する訴訟を起こした。Gはどのような主張を行うか。また、裁判所としてはどのように判断すればよいか。
2)Gが、反訴として、BCDEに対して遺贈を原因とする移転登記請求訴訟を起こしたとすると、この反訴は適法か。

・・・・率直、難易度高いと思うのですが、どうでっしゃろか。

なんか、ねじれ現象があるのよね。後に作られた公正証書遺言が有効だとすると、乙不動産についてFは管理処分権限ないことになるので、Bらに当事者適格があるけど、Bらが負ける。逆に公正証書遺言が無効だとしたら、乙について管理処分権限を有するFに当事者適格が認められそうな気がする。すると、Bらに当事者適格は認められないので、請求は却下・・・・。

何か、とんでもない勘違いをしているような気もしないではないのですが、どなたか考え方を教えてくださいな。

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コメント

そのねじれの元凶は、
公正証書遺言で自筆証書遺言の遺言執行者選任の部分の効力が無くなるかという問題かと思っております。
民法1014条と1023条1項の解釈として、
公正証書遺言で自筆証書遺言の乙不動産遺贈に関する部分が撤回された以上、乙に関しては遺言執行者の権利義務が及ばないと解すると、そういうねじれが生じるのではないかと考えられます。
ですが、乙不動産の遺贈に関する部分だけが撤回されて、乙不動産に関する遺言執行者指定は公正証書遺言と矛盾抵触しないから依然として有効であると解釈することも可能で、後者の解釈だとねじれが生じないことになります。

私としては、遺言者意思尊重の観点からは後者の解釈が良いように思われるのですが、現実的には、遺言執行者を指定した遺言の解釈の問題に帰着するような気がします。(特に、遺言執行者の選任が相続人にとって負担となるような場合には)

>のぶちゅな氏

あ、そうか。遺言執行者については撤回されていない、とも解しうるね。

その解釈が正しいとすると、私ぁ撃沈ですワ。ねじれのところ一生懸命論証したからね・・・・。

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