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2007年12月21日

年内の授業は終了・・・・

今日で、年内の授業日程は終了しました。とは言っても、答案練習会や模擬試験などがあり、来週いっぱいは活動しなければなりませぬが・・・・。


年内最後の授業は環境法特論。環境法百選つぶしですが、予習をしていて「なんじゃこりゃ?」と思ったのが「いじわるの家」という言葉。横須賀野比海岸事件[横浜地裁横須賀支部1979(昭和54)年2月26日判決、環境法判例百選67事件]の判決文中に出てくるのですが・・・・。


(事案の概要)
文筆業を営むX1、X2夫妻は、横須賀市野比海岸の眺望の優れた海岸近くに家を建てた。ところが、Yが、Xの家の隣地に高さのある建物を建築したので、Xの家からの「眼下に半農半漁のひなびた家並みと松林、中間に浦賀水道の潮の流れとそこをいきかう様々な船舶、遙か東に房総半島の山々、西に三浦海岸から剣崎に至る丘陵をパノラマ式に見渡すことができる」眺望が阻害されてしまった。

そこで、Xらは、眺望権が阻害されたとして、Yに対して、主位的にYの家の2階部分の収去を、予備的に謝罪広告と損害賠償を請求した。


ここで、予備的請求として「謝罪広告」を求めていることがよくわかりませんでしたので、判決原文に当たってみますと、大要以下のような論理になっているのでした。

○Yの家は、ベイルートの「いじわるの家」と同じである。「いじわるの家」とは、ある者の家から地中海の景色が見えなくするように別の家を建てることで、そのある者に社会的制裁を加えるものである。
○Xらの家からの眺望を阻害するYの家の存在により、Xらは継続的に社会的制裁を加えられ、名誉を毀損されている。
○その名誉毀損を回復するために、謝罪広告を求める。


「いじわるの家」なんて言葉は初めて知りました。なお、ネットで検索をかけても全く引っかからないです。

おそらく、Xらの近所の人も、Yの家がXらの家からの眺望を阻害しているからといって、Xらの名誉を毀損するものとはとらなかったでしょう。

・・・・つうことで、その点に関するXらの主張は立ちがたいと言わざるを得ません。

今日は、67番まではいかなかったから、この判例は次回回しですがね。

コメント

 お久しぶりです.以前,アップしてくださった答練用紙,
毎週,会社法の起案に重宝しています.

 そう,「いじわるの家」ほど新しい事例では
ないのですが,19世紀のフランスの裁判例に,
隣家の明かり取りの窓を塞ぐように(そしてその目的で)建てた煙突を
除去するよう命じたものがあります.権利濫用の事例だったと思います.
 サイテーションが,すぐできなくてごめんなさい.

>pp21様

どうも、お久しぶりです。答練用紙はご活用いただけているようで、アップした甲斐がございました。

そのフランスの事例、野比海岸事件と結構似ていますね。野比海岸も、予備的請求のうち損害賠償は認容されていて、権利濫用を理由にしていますので。
その辺、私の説明が舌足らずでした。

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