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2008年4月11日

立川反戦ビラ配り事件最高裁判決

<ビラ配布>防衛庁官舎に立ち入り...3人の有罪確定へ」(ヤフーニュースより)

イラクへの自衛隊派遣に反対する旨を主張するビラを自衛隊官舎にポスティングしたことが、住居侵入罪に問われた、立川反戦ビラ配り事件の上告審判決が最高裁で出されました。被告人を有罪とした原審東京高裁の判断を維持したとのことです。

この件についての私の考えは、基本的には以前控訴審判決の際に書いた通りなのですが、次の記事の中にあるH大法科大学院前専攻長のコメントをうけて、ちょっと追加。

<ビラ配布>有罪確定へ...「司法に失望」 市民運動に危機感(ヤフーニュースより)

本件で最高裁は、刑法130条の住居侵入罪についていわゆる新住居権説(つまり、住居権者の意思に反する立ち入りがNG)を採る原審を維持したわけですが、その際の決定権が誰にあるのか、という点について、前専攻長は「官舎管理者の意思だけを問題にして住居侵入罪を認めている点」が気になる、としています。

刑法の判例百選に載っている、建造物侵入罪の「侵入」を「管理権者の意思に反する」ものとした最判1983(S58).04.08って、郵便局の庁舎に局長の許可なしに組合員がビラ貼りに入った事案だったはずですね確か。何かね、この論理をそのまま住居たる官舎にもってくると、違和感があるということになると思うのです。

普通のマンションとかアパートやったら管理組合とか、管理会社とか、管理権者が住民の代表であったり、少なくとも住民が管理を委託しているような、住民意思の反映みたいなものがあると思うのです。

一方、本件の舞台となった「防衛庁立川宿舎」は、陸上自衛隊東立川駐屯地業務隊長、あるいは航空自衛隊第1補給処立川支処長が管理者だったそうな。つまり上官ですな。だから、その官舎に居住している個々の自衛隊員、並びにその家族の意向が必ずしも反映しているとは限らない。そして、本件におけるビラは、自衛隊にとって耳障りな内容であろうから、仮に隊長だの支処長だのに配っていいか、と聞いてもOKはでないでしょうな。

何か、上官は絶対で、隊員とその家族は自由に意見を言うことが出来ない、という感じがして、すごく気持ちが悪い。

ま、自衛隊は上意下達の軍事組織なんで、上官の意向に逆らわないという意思を自発的に各隊員・家族がもっているのかもしれませんが。でも、それはそれで気味が悪いね。

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