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2010年5月17日

竪穴式住居は「建造物」ではない?

復元住居を壊す、中学生送検=器物損壊容疑―静岡県警

登呂遺跡の復元された竪穴式住居を中学生が「チャンバラ」で壊したということで、器物損壊容疑で送検されたというお話。

竪穴式住居は建造物では建造物損壊罪の客体としての建造物扱いされない、ということですね。


刑法

第258条(公用文書等毀棄)
(条文略)

第259条(私用文書等毀棄)
(条文略)

第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。


手元にある、前田雅英・刑法各論講義(第3版)297頁には、刑法260条にいう「建造物」とは、家屋その他これに類する建築物を意味し、屋根を有し壁または柱によって支えられたもので、土地に定着し人の出入りが可能でなければならない、と書かれています。

では、登呂公園の竪穴式住居はどんなものかについて、静岡市のサイトから引用します。

登呂公園のごあんない(静岡市のサイトより)

「登呂遺跡に復元されている建物は、関野克博士が発掘された遺構をもとに銅鐸や土器にえがかれた絵などを参考にして復元したものです。復元住居は高さ約5m、小判形の平面の広さは約73㎡です。住居の内側は羽目板をさし並べ、外側に杭をうって土堤をかためます。4本の柱は根元に礎板をしいて、柱の上に梁と桁をかけそれに垂木をもたせます。桁の上に合掌形に材(叉首)を組み、屋根の最も高いところに木(棟木)をかけます。入母屋づくりの屋根は茅をふき、南西側に出入り口がもうけられています。」

この説明からすると、屋根もあるし柱で支えられているし人の出入りも可能そうなので、刑法260条にいう「建造物」性を肯定できそうに思うのですが・・・・。


※ ※ ※

昨日まで実施されていた新司法試験の問題、法務省サイトにアップされていましたので、関心のある方は是非ご参照ください。

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